雑誌掲載記事紹介

ふくおか経済 2003年11月 Vol.183

独自技術を軸に久留米から世界市場を目指す

久留米市に本社を置く三和システム(株)。

工場の生産ラインやユーティリティにおける技術開発などで培ったオートメーションテクノロジー(AT)を基盤に、自家用発電装置を中心としたエネルギーテクノロジー(ET)や無線遠隔監視などのIT分野で積極約な展開を続けている。

その一つがパケット通信による二十四時間監視システムだ。NTTドコモとの提携により、異常時にはiモードを通して担当者に通知する「パケトラ」シリーズは高い評価を得ている。また十月からは首都圏でディーゼル車の排ガス規制が強化されたが、同社は昨年から三井物産グループと共同で排ガス抑制型のNOx(窒素酸化物)除去装置やDPF・SCR触媒装置を製造、独自技術を軸に各社との連携を実現してきた。さらに世界的な中国進出にあわせて一昨年に上海、今年は寧波に現地法人を設立し、年内には無錫にも計画。上海経済圏を中心に外資系企業へのシステム支援を推進し、現地企業との取引も視野に入れている。

十月末には東京ビッグサイトでの「日本国際包装機械展」にAT・IT関連商品、幕張メッセでの「東京モーターショー」にAT関連商品、十一月末の「エネルギーソリューションワールド」にはET関連商品をそれぞれ出展する。「福岡、九州にも優秀な人材はたくさんいる。彼らにも、自分たちの身近にも世界を相手にしている企業があることを知ってほしい」と森光社長。久留米から世界を目指す同社の挑戦はこれからも続く。

年内にも無錫市に現地法人を設立 中国拠点は4カ所目

全国展開を進める一方で、アジアビジネスを図る動きは飲食業だけではない。久留米市合川町の自家発電装置の企画・開発・販売、三和システム(株)は年内にも、中国の江蘇省無錫市に現地法人の設立を計画している。

上海市の北西に位置する同市では、工業団地を整備して日本を含む外資系メーカーの誘致を進めている。同社では、進出するメーカーに工場内の生産ラインの自動化、いわゆるファクトリーオートメーション(FA)を支援する考え。現地ではソフト開発に特化して、欧米企業から部品を調達。加工業務は、現地企業に委託する方針。社名は「無錫三和系統有限公司」(仮名)で、資本金は二千万円。従業員は現地採用も含めて五人でスタート。初年度の売上高は三億円を見込んでいる。

同社の中国拠点は、上海市、天津市、寧波市に次ぎ四カ所目で、各地の現地法人が連携Lて上海経済圏で外資糸を含めた現地企業へのシステム販売を目指す。森光社長は今回の現地法人設立について、次のように説明する。

「これまで取引のあった外資系企業から、システム支援のため現地にも拠点を設置してほしいという要請を受けたもの。現地の外注先を中心に、情報収集や人材育成を経てようやく実現した。現地では、FAに関するニーズはかなり高いと見込んでいる」

同社では今年四月に、浙江省寧波市に現地企業と共同出資で情報システム会社を設立したばかり。寧波市では杭州湾をまたいで上海を結ぶ「寧波杭州湾海上橋」の建設が進んでおり、合弁会社では橋の工事施工管理と完成後の課金システムの遠隔監視を担う。同社が四九%を出資し、従業員は現地採用を含めて十人。すでに展開している二カ所を含めて、中国でのビジネスが広がっていることがうかがえる。

優秀な技術者確保には福岡が有利 東京本部を置き営業を展開

同社は1980年に創業した技術系ベンチャー企業で、2000年に通産省の「新規事業創出促進法」に基づく株式公開型ベンチャー企業支援の対象企業として、九州管内で初めて認定を受けた。

〇二年一月には日本政策投資銀行から九州初のベンチャー融資を受け、同年五月には福岡県から「中小企業経営革新支援法」の認定を受けている。

同社は、国内では東京都千代田区に東京本部と営業推進室を置き、東京を中心に営業を展開している。〇三年五月期の連結決算では、前期比十二・五%増の四十五億円を売り上げ、経常利益は一億円を計上。主要販売先の自動車業界の好況を受け、工場への売れ行きが好調だった。

東京に本社を移転しての展開も可能だが、森光社長は「出身地の久留米への愛着もあるし、人材確保のためにはこのままの方が得策。 Uターンを志望する九州出身の優秀な技術者を確保できる」と打ち明ける。

アジア展開と合わせ、同社のように人材確保を理由に本社を福岡に置く地場企業の例も多く見られる。